「魂のミッション」に目覚める者となろう

 「魂がうち震えるような授業をやって下さい」と言いたい。先生自身が言葉に詰まって泣き出しても構わない。子どもたちも泣き出して、言葉にならなくても構わない。皆がうち震えるような授業を、年に一度はやるべきではないでしょうか。(中略)授業のテクニックではありません。自分の魂をうち震わせながら語れば、子どもたちの魂も震えてくる。これは何よりも大事なことではないでしょうか。

 

 人間は、「私の人生はこのためにあったのだ」「これをするために私は生まれてきたのだ」という、自分のミッションに気付く瞬間がある。これを見つけることができたとき、人は初めて自分の人生を心の底から肯定できるようになるのではないか。


 「魂のミッション」目覚める者となろう <明治大学教授 諸富祥彦> より

 

 大変手前味噌ながら、以前、学習塾で教えていた頃、授業中に言葉に詰まって泣き出したことが一度だけある。しかもその時は、普段の生徒と一緒に、入塾を検討するためにお試し授業を受けに来たお子さんとお母様とが目に前にいらした。

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 自分自身でも予期せぬ行動だった。目の前の子どもたちの心に、今この瞬間に灯火を燃やさなければ、という衝動からからだったと記憶している。

 

 いつどんな風に何を教えたかは忘れても、この瞬間だけは脳裏に深く刻み込まれている。

 あれから20年経った今。30歳を過ぎたであろうあのときの子どもたちに無性に会いたくなった。


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