『庭球する心』が支えてくれた青少年期の10年間

この一球は絶対無二の一球なり
されば身心を挙げて一打すべし
この一球一打に技を磨き体力を鍛へ
精神力を養ふべきなり
この一打に今の自己を発揮すべし
これを庭球する心といふ

 

 これは、1920年代に活躍した日本テニス界の往年の名選手、福田雅之助(1897年 - 1974年)による有名な「庭球訓」。私が知ったのは、確か、アニメ「エースをねらえ!」の中だったような気がする。

 

 中学、高校、大学と続く黄金の青少年期とも言える10年間。私が最も打ち込んだのが軟式テニスでしたが、それは、挫折と復活の繰り返しでした。

 

 中学へ入学した4月。親友と共にテニス部に入部したのも束の間。体力と精神力の乏しかった私は直ぐに挫折してしまい、退部。その後は、美術部に籍を置くことに。

 翌年1月になると、親友たちから再びテニス部への入部を誘われ、その友情に支えられて再入部。

 その後は体力も精神力も技術もつき、引退間際の大会では某大会で決勝まで行きながらも・・・、負けてしまいました。が、心はこの上なく晴れ晴れとしていました。

 

 高校では、インターハイ出場を目指し、打ち込んだのも束の間、今度は顧問の先生と合わず、またまた挫折して退部。その後は、またもや、美術部に籍を置くことに。

 美術部では、芸術に打ち込む仲間と顧問の先生からの良い刺激を受け、いつしか美術大学を志すようにまでなっていました。

 

 入学した美術大学では、一番打ち込んだのが、やはり何と言っても軟式テニスでした。

 インターハイや国体出場経験もあり人格的にも素晴らしい先輩や仲間に囲まれながら、テニスの醍醐味をとことん味あわせていただいたお陰で、学業もさることながら、忘れられない充実した4年間となりました。

 

 10年間で得た絶対無二の宝である仲間や師と呼べる先生に出会うことができたのも、絶対無ニの一球に注ぐ精神を教えてくれた『庭球する心』だと、感謝の思いで一杯です。

 新しい月の初めに、思い悩んだ丁度40年前を回想しながら、思うがままに綴りました。

 

 

※福田雅之助氏の直筆の写真は、早稲田大学庭球部公式ウェブサイトからお借りしました。

http://www.waseda-tennis.com/slogan/index.html 【「この一球」のページ】