死を目の前にした大学教授が遺した、父から子へのメッセージ。「最後の授業」

 「夢を叶える道のりに障害が立ちはだかったとき、僕はいつも自分にこう言い聞かせてきた。レンガの壁は、僕の行く手を阻むためにあるんじゃない。その壁の向こうにある何かを自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているんだ」

 

 死を目前にした一人の大学教授は、学生に向けてこう語りかけた。

 その言語は、自分の人生をこんなにも素晴らしいものにしてくれた人々への感謝であふれていた。

 

 その一人の大学教授の名前はランディ・パウシュ(Randolph Frederick Pausch)。

 1960年10月23日にメリーランド州ボルチモアで生まれ、2008年7月25日に47歳の若さで妻と三人の子どもたちを残し、膵癌からの合併症で亡くなった。

 

 パウシュは2006年9月に自身が膵癌の末期症状にあることを知り、2007年9月18日に「最後の授業:子供時代に抱いた夢の実現(The Last Lecture:Really Achieving Your Childhood Dreams)」という名前の授業を行い、それはYouTubeで映像が配信されメディアに取り上げられた。その後、同じテーマのジェフリー・ザスローとの共著『最後の授業 ぼくの命があるうちに』を発表した。

 

 動画、ランディ・パウシュの「最後の授業」9(続きを読むをクリック)の中で、パウシュはこう締めくくる。

 

今日のテーマは 夢の実現 他の人の夢の手助け ― 僕が得た教訓でした。


頭のフェイントに気が付きましたか?


夢の実現を題材に生き方の話をしました。

正しく生きれば人生の歯車が回って夢は実現します。

 

頭のフェイントは もう一つ。

 

この講義は僕の子供たちに向けたものです。

 

ランディ・パウシュとジェフリー・ザスローとの共著『最後の授業 ぼくの命があるうちに』

Amazon 商品の説明 内容紹介より

 

全米600万人が涙した、ある大学教授の「最後の授業」


 今日の次には明日が来て、その先にも新しい日が待っている。そうやって、当たり前のように人生は続いていく。しかし、これから先もずっと続くと思っていたその人生に「終わりの時」があると知ったとき、あなたは何を考えるだろうか――。


 2007年9月18日、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学の講堂で、1人の教授が「最後の授業」を行った。教授の名前はランディ・パウシュ。46歳。最後の授業をするにはまだ若すぎるパウシュだが、彼にはこのとき、長年親しんだ大学に別れを告げざるをえない事情があった。膵臓から肝臓へと転移したガン細胞。医師から告げられた命の刻限は――「あと3カ月から半年」。こうしてパウシュの最後の授業は始まった。スクリーンに映し出された演題は『子供のころからの夢を本当に実現するために』。それは、「最後の授業」であると同時に、幼い3人のわが子に遺すためのメッセージだった。

 

 パウシュが幼いころに抱いた夢は、たくさんある。無重力を体験する。NFLの選手になる。ディズニーのイマジニアになる……。そのほとんどは実現し、いくつかは失敗のうちにも自分を成長させる糧となった。パウシュは言う。「夢を叶える道のりに障害が立ちはだかったとき、僕はいつも自分にこう言い聞かせてきた。レンガの壁は、僕の行く手を阻むためにあるんじゃない。その壁の向こうにある何かを自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているんだ」。


 両親の教え、家族の愛、同僚たちの支え。そうやって、人は人と関わりながら生きていく。自分の夢を叶え、周りの人が夢を叶える手助けをすることで、明日を生きるエネルギーを手に入れる。人生の幕切れがそう遠くないと知りながらも、パウシュは自分を「本当に幸せ者だ」と言う。最後の授業は、自分の人生をこんなにも素晴らしいものにしてくれた人々への感謝であふれていた。


 講義を終えたパウシュを迎えたのは、講堂を埋めつくした聴衆のスタンディングオベーションだった。全米中のメディアがこの授業について報じ、2500万人以上がテレビ番組でパウシュの姿を目にした。インターネット配信された講義の模様は、600万ものアクセス数を獲得した。


 この本は、パウシュの最後の授業の記録であり、「つづき」でもある。講義を行うにいたった経緯、講義では語られなかった家族への想いなど、新たに書き下ろされた部分も多い。読む者の心に残るのは、「死ぬ」ということではなく、「生きる」ということについての、パウシュの力強いメッセージ。夢を実現することの大切さ、人生の喜びについて、ユーモアあふれる語り口で講堂を沸かせたパウシュの息づかいが、ページをめくるごとに伝わってくる。DVDには、日本語字幕のついた「最後の授業」が収録されており、笑いと涙で包み込まれた講堂のライブ感が味わえる。

 

http://goo.gl/VjRK4