宮澤章二先生のこと

通販で注文していた本が届きました。

「行為の意味-青春前期のきみたちに-」です。

 

「こころ」はだれにも見えないけれど「こころづかい」は見える

「思い」は見えないけれど「思いやり」はだれにでも見える

 

ACのCMとしてTVで度々流され、ポピュラーになったこの一節。
もとの詞の題名が、他ならぬ「行為の意味」であり、掲載された本の題名も「行為の意味」。

 

この詩を作られたのは、埼玉県羽生市弥勒出身の詩人・作詞家である宮澤章二先生。私の母校である羽生小学校でも昭和16年に教鞭をとられ、校歌も作詞された方なのです。

 

贔屓目を差し引いたとしても、母校の校歌は大変素晴らしく、心を打たれます。

それで、詩集「行為の意味-青春前期のきみたちに-」を読んでみたいと思いました。

 

じっくりとはこれから読むこととして、さっそく「行為の意味」を読み、その後をぱらぱらとめくって見ました。そこで、ハッとした一節が目に飛び込んで来たのでご紹介します。

 

だれも気づかぬこと に気づくのは尊い

だれもが 気づいていながらやらぬことを

思いきってやってみるのは 更に尊い

(<広野の花のように>から)

 

『だれもが 気づいていながらやらぬことを 思いきってやってみるのは 更に尊い』とは、なんと深く、的を得た表現なのだろうと感動しました。

ACのCMの映像は、これを製作した方が意図したか否かにかかわらず、このメッセージをも含んでいるのではあるまいかと思いました。

 

「行為の意味」の全文をご紹介します。

 

【行為の意味】


―――-あなたの〈こころ〉はどんな形ですか

と ひとに聞かれても答えようがない

自分にも他人にも〈こころ〉は見えない
けれど ほんとうに見えないのであろうか


確かに〈こころ〉はだれにも見えない

けれど〈こころづかい〉は見えるのだ

それは 人に対する積極的な行為だから


同じように胸の中の〈思い〉は見えない

けれど〈思いやり〉はだれにでも見える

それも人に対する積極的な行為なのだから

 

あたたかい心が あたたかい行為になり

やさしい思いが やさしい行為になるとき

〈心〉も〈思い〉も 初めて美しく生きる
―――-それは 人が人として生きることだ


宮澤章二先生は、30年間に亘り埼玉県の中学生のために詩を贈り続けました。詩集「行為の意味」は、その詩の中から選ばれたものです。 

 

●宮澤章二(みやざわ・しょうじ)略歴

大正8年(1919年)6月11日、埼玉県羽生市弥勒に生まれる。

小学校2年生まで羽生で育ち、その後東京の小学校を卒業。昭和18年(1943年)、東京大学文学部卒業。

不動岡高等学校教論を経て文筆業(詩と歌詞)に専念。

作詞関係では童謡・歌曲・合唱曲・校歌・市民歌等を多数手がける。中でも校歌は小・中・高校など300校に及ぶ。日本童謡賞、赤い鳥文学賞特別賞等を受賞。日本現代詩人会会員、日本童謡協会常任理事、日本作詞家協会理事、埼玉詩話会顧問等を歴任。

主な著作は「蓮華」「空存」「枯野」「風魂歌」等多数。クリスマス・ソング「ジングルベル」の作詞者としても知られている。

平成17年(2005年)3月11日逝去。

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コメント: 1
  • #1

    Juicer Review (日曜日, 05 5月 2013 05:52)

    This informative article was in fact just what I was looking for!